インビザラインによる術前矯正と下顎先欠歯2本のインプラント症例
下顎の前歯は通常6本ですが、中央から2番目の歯(側切歯)が左右2本とも欠損している先天性欠如の患者様です。
初診時、下顎だけでなく、上顎の正中(真ん中)にも空隙(隙間)がありました。
初めにマウスピース矯正「インビザライン」による術前矯正を11か月行いました。各隙間を寄せ、インプラントを埋入するスペースを確保し、適切な咬合関係を確立します。
インビザラインの治療計画では、下顎前歯がより美しく審美的に並ぶよう、ご自身の歯とインプラントの歯がほぼ同じ幅径になるよう計算し配列を行いました。
インプラントは世界シェアNo,1の「ストローマン」インプラントを採用。若年者の方も安心して長期的にお使いできるよう配慮しています。
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治療前
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インビザライン終了後、インプラント2本埋入2週間後
歯列矯正を受けられる際のリスク
- 後戻り、加齢・成長による変化:矯正歯科治療により歯並びが改善されても治療終了後そのままにしておくと、元の歯並びに戻ろうとする傾向があります。これを防止するために一定期間保定装置という後戻り防止装置を使用していただく必要があります。また後戻りとは別に、加齢変化や成長により歯並びは変化します。
- 歯根、歯肉への影響:歯を動かすことにより、歯根が短くなったり、歯肉が退縮したりする可能性があります。歯と歯の間の歯肉が下がると歯間に三角形の隙間ができることがあります(ブラックトライアングル)。
- 歯への影響:歯の神経は生きていますが、何らかの原因によって神経が死んでしまうことがあります(失活)。失活すると歯が黒く変色してしまうことがあります。
- 矯正治療途中で、白い樹脂(レジン)を使って、歯の形態修正を行う可能性があります。また、エナメル質を削って隙間を作ったり、抜歯を行う可能性もあります。
- セラミックや金属の被せ物治療がされている歯は、歯の表面にアタッチメントやブラケットなどの器具を付けるため、一旦冠をはずして仮歯にする場合があります。
- 矯正治療中に虫歯が発見された場合は、同時に治療することも可能ですが、歯の形に大きく影響がある場合は、矯正治療を中断する可能性もあります。
- 顎関節症状:矯正治療中に顎関節に不快な症状(顎を動かすと音がなる、痛みがある、動かしづらい等)が生じることがあります。その原因は特定しづらく、矯正歯科治療との関連性は不明である場合がほとんどですが、必要に応じて検査を行い、適切に処置する必要があります。
インプラント治療におけるリスク
- 心疾患、骨粗鬆症、重度の糖尿病等、内科的な疾患のある方は、インプラント治療が適さないケースもあります。また普段服薬しているお薬等も治療に影響する事があります。
- 骨の成長途中になるお子様(およそ20歳未満の方)、妊婦の方はインプラント治療が受けられません。
- 上顎にインプラントを埋入する際に、上顎洞膜を破る可能性があります。その場合、他に埋めることが可能な場所を検討します。手術後に抗生剤を服用する事で感染予防をし、膜が自然にふさがるまで治癒を待ちます。
- 舌下動脈、下歯槽動脈、上歯槽動脈など、血管損傷による出血のリスクがあります。
- 免疫力や抵抗力が低下している方、歯周病の発生リスクの高いとされる糖尿病の方、口腔内の衛生状態の悪い方や、喫煙者の方は、インプラント治療がすぐにできない事があります
- インプラント術後は違和感、痛み、腫れ、内出血などが発生する場合があります。これらは手術による身体の炎症反応であり、一時的なもので、多くの場合1週間程度で治まります。
- インプラントが生着する時間が必要なため、全体で3~6ケ月程度の治療期間が必要です。骨造成手術を行う場合はさらに期間を要します。
- 口腔内の衛生状態が悪い方、歯ぎしり、くいしばりの強い方はインプラント周囲炎(インプラントの歯周病)を引き起こす可能性があります。日ごろから丁寧なメインテナンスが必要となり、咬合調整やナイトガード(マウスピース)の装着も必要になる場合があります。
- お身体の状態や細菌感染により、術後インプラントが骨と結合しない場合があります。この場合、原因を取り除いてご希望により再治療を行います。
治療方法 | マウスピース矯正(インビザライン):上下顎すべての歯 ストローマンインプラント(ジルコニアセラミック):2本 |
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治療期間 | マウスピース矯正(インビザライン):11か月 インプラント:6か月 |
治療費 | マウスピース矯正(検査診断料含む):¥800,000 インプラント検査診断料(CT撮影含む):¥30,000 骨造成術+インプラント埋入手術費用:¥300,000×2 ジルコニアセラミック上部構造:120,000×2 |