部分矯正と全体矯正の違い
それぞれのメリットとデメリット
矯正治療には部分矯正と全体矯正の2種類がありますが、どのように選べばいいのでしょうか。今回はそれぞれの方法について、メリットとデメリットをご紹介します。
部分矯正とは
歯並びを部分的に整える方法で、噛み合わせそのものを改善するものではありません。前歯などの目立つ部分だけ綺麗にすることを目的としています。
例えば、前歯の隙間や一本だけ出ている歯並びを整えるなど、一部のみを修正するケースに適しています。以前矯正を受けたのにもかかわらず、歯並びが後戻りした際の再矯正としても用いられる治療法です。
部分矯正のメリット
治療期間が短い
個人差はありますが、治療期間が早くて半年～1年程度と短い傾向にあります。全体矯正の半分以下の期間で済むこともあり、さらに治療期間の短さに比例して、通院回数も少なくなります。「一部だけ治ればよい」とお考えの方や「矯正をしていることを周りに知られたくない」「忙しくて通院回数を少なくしたい」という方に向いています。
費用が安い
矯正に使用する器具が少なく、通院頻度も全体矯正と比べて低いため、費用を抑えることができます。治療内容によって多少の差はあるものの、費用面で矯正治療をためらっている方でも、始めやすいのではないでしょうか。
痛みが少ない
部分矯正では、一部の歯のみを動かして整えるため、全体の歯を移動させる矯正よりも痛みが軽減されると言われています。また、治療期間も短いので、痛みを感じる期間自体も短縮されると考えられます。
部分矯正のデメリット
部分矯正では対応できないケースがある
部分矯正で治療できる症例には限界があり、歯並びによっては適応できない場合があります。極端な出っ歯や、でこぼこした歯並び、骨格に起因する嚙み合わせの問題がある症例では、全体の歯を動かす治療が必要となるため、部分矯正のみでの治療は難しいでしょう。無理に部分矯正を行うと、他の歯や顎に負担がかかり、かえって逆効果になることもあります。
歯と歯の間を削る可能性がある
歯と歯の間にスペースを作り、歯を移動しやすくするために、歯の側面を少し削る処置を行うことがあります。健康な歯を削りたくない方にとってはデメリットに感じるかもしれませんが、過剰に削ることはなく、歯そのものへの悪い影響はありません。また、削る際の痛みもありません。
全体矯正とは
上下全ての歯並びを、噛み合わせも含めて治療する方法です。奥歯の噛み合わせも矯正することが可能です。個人差がありますが、2～3年ほどかかると言われており、状況次第では抜歯が必要となることがあります。
全体矯正のメリット
歯並び全体を改善できる
歯並びだけでなく、嚙み合わせの改善も可能です。そのため、一度矯正できれば、安定した綺麗な歯並びを保ちやすくなります。加えて、発音が明瞭になったり、食事がしやすくなるなどの効果も期待でき、歯や顎にかかる負担も減らすことができるため、将来の口腔環境にも良い影響を与えるでしょう。
対応できる症例が多い
部分矯正では難しい重度の歯並びの乱れも、全体矯正によって大幅に歯を移動させることで、正しい歯並びを手に入れることが可能です。受け口やかみ合わせの左右のずれといった骨格に問題がある症例にも対応できます。
全体矯正のデメリット
費用が高額になる
歯を大きく動かすためには、抜歯などの高度な技術が求められるので、部分矯正よりも高額になります。使用する装置も多くなります。治療開始前に、費用の目安を確認しておくと良いでしょう。
治療期間が長い
個人差がありますが、治療完了までに2～3年かかるとされています。その間、定期的な通院が必要となり、長期間にわたって通院のための時間を捻出しなければなりません。治療期間が長くなるほど、通院費も高額になることは避けられないでしょう。
装置が目立つ
最近は目立ちにくいクリアブラケット、クリアワイヤーが使われるようになりましたが、従来のワイヤーやブラケットは金属色が目立つため、見た目が気になる方もいらっしゃるかもしれません。
まとめ
部分矯正と全体矯正についてご紹介しましたが、どちらが適した治療法なのかは個人によって異なります。ご自身の意向も含め、信頼できる歯科医師に相談して、適切な治療法を選びましょう。当院にはインビザライン矯正認定医が在籍しており、専門的な診断と治療が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
